キーワード
ネットワークアーキテクチャ、並列分散処理システム、光波長ネットワーク、 ネットワークQuality of service(QoS)、ネットワーク信頼性、エッジコン ピューティング、Network Function Virtualization(NFV)
情報ネットワーク研究室では、情報処理システムとネットワークを融合した研究 課題に取り組み、新たなネットワークサービスの実現を目指します。
携帯電話サービス、Web会議、ネットワークゲーム、農業、交通など様々な IoT(Internet of Things)アプリケーション等のネットワークサービスは、ネッ トワークを介して提供され、ネットワークを介して情報処理されます。コン ピュータ間を接続するネットワーク、ユーザとコンピュータをつなぐネットワー クは、広い意味で情報処理システムの一部と言えます。
また、ネットワークサービスでは、大容量で低遅延な操作を実現する快適性、場 所を選ばず利用できる利便性、セキュリティリスクを気にせず利用できる安全性 は、様々なサービスに共通に求められる要件です。
コンピュータは高性能化し、ネットワークも高速化する時代に、情報ネットワー ク研究室では、ネットワークを情報処理システムの一部と捉えて、これらの快適 性、利便性、安全性を実現するための情報処理システムの研究課題に取り組みます。
ネットワーク分散処理アーキテクチャ
ネットワークを介して提供されるサービスの1つの課題は遅延です。ネットワー クゲームなどでも、アプリケーションが動いている情報処理システムからの距離 によって、遅延差による不公平が生じます。例えば、東京のサーバでアプリケー ションが動いている場合、東京のユーザと沖縄のユーザでは、遅延の観点で沖縄 のユーザが不利となります。これらの不公平性をなくすような情報処理システム は、ネットワーク内の情報処理システムの配置、アプリケーションの処理方法な ど全ユーザの遅延を最小にし、かつ、遅延を公平にするような仕組みが必要とな ります。ネットワーク分散処理システムの研究テーマでは、様々な利用シーンを 想定し、広域ネットワークを介して提供されるサービスの低遅延化と遅延公平制 御を実現する研究課題を扱います。
ネットワークサービス処理システム
現在のネットワークは携帯電話サービスを提供する移動体ネットワーク、自宅の Internet回線を提供する固定ネットワーク、アプリケーションが動作するクラウ ドと独立に運用管理されています。ユーザ端末もスマートフォンにアプリを入 れ、自宅のパソコンにもアプリを入れ、データもそれぞれの端末に保存されてい ます。例えば、スマートフォンで動作させていたゲームやWeb会議を自宅のパソ コンでストレスなく継続したり、パソコンやスマートフォンを買い替えても、 まったく同じ環境が即座に再現できる環境の実現には多くの課題があります。 ネットワークサービス処理システムの研究テーマでは、安心に利用できる安全性 や場所やデバイスを選ばず利用できる利便性を備え、このような環境を実現する ネットワークサービス処理システムの認証方式、データ配備法、ネットワーク アーキテクチャなどの研究課題を扱います。
超低遅延光ネットワーク
大容量で低遅延なネットワーク環境のためには、ネットワークの作り方自体を変 えていく必要があります。現在のネットワークは、大まかには情報を宛先毎に振 り分けるスイッチングシステムと情報を遠くに伝達するための伝送システムで、 情報伝達機能を実現しています。スイッチングシステムは、細かい粒度で宛先を 選択できる一方で、情報をバッファリングするため遅延を増大する要因にもなり えます。大容量で低遅延なネットワーク実現の1つのアプローチは、遅延を増大 する要因になりえるスイッチングシステムを利用せずにフルメッシュで接続する ネットワークを構成することです。ただし、単純なフルメッシュ構成では、接続 可能な拠点数に制限が出たり、細かい粒度の宛先選択ができなかったりと課題が あります。超低遅延光ネットワークの研究テーマでは、これらの課題を解決する 階層化ネットワークや、少ない波長数を効率的に利用する光波長ネットワーク構 成法などの研究課題を扱います。